第398章

だが、市役所の正面玄関は、まだ開いていなかった。

思いがけず門扉にトラブルが起き、職員たちが慌ただしく復旧作業に追われている。

手続きに来た人々は黒山のように外で待たされ、婚姻届の列と、離婚届の列にきれいに分かれていた。

薄井宴は車内にとどまったまま、降りる気配を見せない。御景園に連絡を入れ、『藤堂心』の居場所を確認させようとした、そのときだった。

不意に、藤堂光瑠の姿が目に飛び込んできた。

人混みの中に立ち、じっと正面玄関のほうを見つめている。

どくん、と薄井宴の心臓が大きく跳ねた。

「――?!」

どうして、彼女がここにいる?

まさか、離婚のために来たのか。

彼女が言っ...

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