第403章

若い市役所職員は、こんな大ごとに立ち会うのが初めてだった。緊張しすぎて頭が真っ白になり、薄井宴が立ち去ろうとしたのを見るなり、慌てて追いかけて声をかける。

「薄井さん、離婚は……なさいますか? 向こうはもう手配済みで、いつでも手続きできます」

その言葉に、加賀景城たちがぎょっとして、手にしていた煙草をくしゃっと握りつぶし、駆け寄った。

「バカか! 空気読めよ!」

数人で職員の口を押さえ、ぐいっと隅へ引きずっていく。頭のてっぺんから足先までじろじろと検分された職員は、顔色を変えた。

「な……な、なんですか……?」

加賀景城が、艶のある切れ長の目を細める。

「大学出たてだろ」

「...

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