第406章

薄井宴は胸がいっぱいになり、どうしようもなく心を揺さぶられていた。

胸の奥に巣くっていた緊張も不安も、そして罪悪感も自己嫌悪も――全部、濃い愛情へと姿を変えていく。

涙で視界が滲み、もう彼女の顔さえはっきり見えない。それなのに、自分の心の声だけはやけに鮮明だった。

――愛してる。

――たまらなく、愛してる。

――ずっと、永遠に……

「ぽちゃん――」

藤堂光瑠が、澄みきった海へと落ちた。

全身が一瞬で海に包まれ、空気が奪われる。喉の奥に、息が詰まるような窒息感が押し寄せた。

泳げない彼女は、水に落ちた途端、身体の自由を失ってしまう。

助けを求める術もなく沈んでいく。根のない...

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