第416章

薄井宴の思考が、ふわふわと漂っていた。

さっきは娘のこと。次は藤堂光瑠のこと。

「娘がいるかもしれない」と「娘がいると確信する」では、まるで別物だ。月とすっぽん――受け止め方が違いすぎる。

疑っているうちは理性が主導で、頭の中は推測と理屈の検証ばかりになる。

だが、確信した瞬間。

胸の奥を揺さぶる衝撃。こみ上げる歓喜。

同時に、焦り。

――俺に、娘がいる。薄井宴に、娘ができた。

それなのに娘は、他人の手の中にいる……。

娘のことを考え終えた途端、思考はまた藤堂光瑠へと流れた。

悔しさと、胸を抉るような痛み。

悔しいのは、彼女の妊娠期間すべてを逃したことだ。藤堂光瑠が腹を...

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