第417章

黒いレインコートにフード。背中を丸め、ねっとりと歪んだ笑みを浮かべた男は、映画に出てくる醜悪な魔術師みたいだった。

男は彼女のそばまで寄ると、ためらいもなく何度も刃を突き立てた。彼女はその場に崩れ落ちる。

目を見開いたまま、彼女は見てしまう。血に濡れたナイフをぶら下げた男が、子どものほうへ歩き出すのを。

一歩。二歩……。

距離が、じわじわと縮まっていく。

怖い。怖くてたまらない。あの手で、私の子に——。

立ち上がって飛びつこうとしても、脚が言うことをきかない。

血まみれの体を引きずってでも近づこうと、爪を床に食い込ませる。けれど、どれだけ力を込めても一寸たりとも進めなかった。

...

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