第419章

「いや、お前の母親が雲川市で支援教員をしていた頃、俺は南城の国境線にいた。向こうの詳しい事情は知らねえ。母親からの手紙で聞いただけだ。

俺は福って子に会ったこともねえし、あいつの親も見たことがねえ。なんで探してる? 薄井家の連中がまたその件でお前を洗脳してるんじゃねえだろうな。あいつらの話は聞くな。お前の母親は、いい女だ」

「分かっています」

薄井宴は、巌谷研一のことは口にしなかった。楠瀬勝則はいま軍務で手いっぱいだ。余計な心配はかけたくない。

「母が当時、雲川市で支援教員をしていた具体的な場所は分かりますか。少し調べたいことがあって」

「分かる。あの頃はずっと文通してた。あとで送...

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