第426章

巌谷研一はぎゅっと拳を握りしめ、しばらく呼吸を整えてから、ようやく口を開いた。

「彼女が俺を迎えに来たあの日、俺は嬉しくてたまらなくて、弾むみたいに部屋から飛び出した。――でも、彼女の隣に立っていたのは、薄井青山だった

彼女が俺に話していた“その男”が、まさか薄井家の人間だったなんて、夢にも思わなかった

薄井青山の顔を見た瞬間、心の奥に押し込めていた悪夢が一気に蘇った。俺はあいつが怖かった。……そして、憎かった

俺は、薄井家の人間をみんな憎んでる

でも、あのときは憎しみより、恐怖のほうが強かった。あいつに傷つけられるのが怖かったし、それ以上に、彼女が傷つけられるのが怖かった。だから...

ログインして続きを読む