第432章

藤堂光瑠はふっと鼻をすすり、眉を寄せて言った。

「私、医者なんです。自分の体のことは自分がいちばん分かってます。丸一日なにも食べてなくて、それに怖い目にも遭って……そのせいで気を失っただけ。体は大丈夫です。早く娘を探しに行きましょう。今すぐ!」

言い終えるなり、布団をばさっとめくって起き上がろうとする。

薄井宴と一緒に娘を探しに行く。今すぐ。1秒だって待ちたくなかった。

薄井宴が腕を伸ばして止めた。

「行かせない」

霊渓村は巌谷研一の本拠地だ。乗り込めば危険なのは分かりきっている。

それに――ようやく巌谷研一の手から藤堂光瑠を奪い返したばかりだ。そんな彼女を、わざわざ巌谷研一の...

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