第433章

あの日の臨城は、やけに冷え込んでいた。

ごうごうと唸る風。羽毛のような雪が、朝から晩までひたすら舞い落ちていた。

――なのに、氷室武治と氷室夢子の胸の内だけは、燃えるほど熱かった。

今日は氷室武治の誕生日。そして同時に、彼の人生に刻まれる一つの節目でもあった。

武治は長年、絵を描き続けてきた。努力だけは誰にも負けないつもりで、それでも世間には埋もれたまま。画壇の片隅で、名前すら知られない存在だった。

ところが誕生日のその日、思いもよらない招待状が届いた。

差出人は、武治が敬愛してやまない“あの”老画家。技巧は比類なく、作風は唯一無二。

絵で金を稼いではいるが、金のために自分の絵...

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