第446章

宝はそもそも薄井宴の存在に気づいていなかった。巌谷研一の首にぎゅっとしがみつき、甘えるように泣きじゃくる。

「パパ、パパ……宝、こわい夢みた……こわい、宝こわい……うぇぇ……」

巌谷研一は娘を強く抱きしめ、胸が痛むのか声が震えた。

「宝、怖くない。パパが帰ってきた。パパが守る。大丈夫だ」

――父と娘の、濃い絆。

薄井宴はその場で固まったまま見つめるしかない。目の前の光景は、心の中を焼け野原にしていく。胸の底が抜け、奈落へ落ちていくようだった。

太郎たちはこうなることを予想していた。だが、薄井宴が巌谷研一と一緒に入ってくるとは思っていなかった。

薄井宴が先にママと戻り、そのあとで...

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