第449章

蓟区――津上のいちばん端にある区。

市中心からは遠く、山が多い。観光向けの施設も揃っている。

巌谷研一は壹号公館を出ると、黒いビジネスバンに乗り込み、そのまま蓟区へ飛ばした。

山をぐるりと回る道路の分岐で、車は止められる。

分岐を上がった先には、農家レストラン兼レジャー施設があった。

車が停まると、運転手が不安げに研一を見た。

「巌谷さん……」

巌谷研一は険しい顔のまま言い捨てる。

「黙って車にいろ」

ひとりで降り、ドアを乱暴に閉めた。

いかにも厄介そうな男が二人、目を細めて研一を値踏みする。明らかに顔見知りではない。距離を取ったまま声を張った。

「今日は休業だ。遊ぶな...

ログインして続きを読む