第458章

5月。津上はまだ本格的な雨季に入っていない。

それなのに、この豪雨は容赦がなかった。空は鉛色に沈み、街ごと丸呑みにしてしまいそうなほど黒く垂れ込めている。

フロントガラスのワイパーが狂ったように左右へ走る。けれど視界は白く滲み、前が読みづらい。

運転手も速度を落としていた。薄井宴と三人組は、まだ家に着けていない。

車内では父子四人が揃って窓の外を睨み、同じように眉を寄せていた。胸の奥に重たいものを抱えたまま。

車内の空気は、やけに低い。

次郎が小さな眉をぎゅっと寄せ、我慢に我慢を重ねた末、太郎を見て言った。

「兄ちゃん、俺、気分わりぃ」

太郎は巌谷研一の件を考え込んでいたが、...

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