第463章

黒いビジネスバンの車内。薄井宴は宝を見つめ、視界の全部が愛情で埋まっていた。

「宝はうさぎさんがいちばん好きなんだろ?」

宝はこくこくとうなずく。「うんうん。うさぎさんがいちばんかわいい!」

薄井宴はふっと笑って、やさしく宝の頭をなでた。

「宝も、うさぎみたいにかわいい」

こんなに可愛い、手放せるわけがない。

子を思うなら、先の先まで考える。薄井宴が宝を巌谷研一に任せて平気なはずがなかった。

巌谷研一が宝を愛しているのは事実だ。だが――巌谷研一には、宝に「いい未来」を用意できない。

巌谷研一は……。

薄井宴はわずかに眉を寄せ、複雑な表情のまま窓の外へ視線を流した。

最初か...

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