第471章

宝は攫われた。しかも、最初から仕組まれていた。

巌谷研一が立ち去ってから、まだ1時間も経っていない。まず家の近くにある一棟建ての別荘が、事故を装ったように爆発した。続けざまに、宝がいる別荘が炎上する。

火の回りは凄まじく、反応する暇すら与えないまま、3階建ての小さな建物をあっという間に呑み込んだ。

薄井宴の手の者も、巌谷研一の手の者も、そして宝の身辺警護についていた由里も、死に物狂いで宝を守った。

炎の中から救い出された宝は、頬に煤が少しついただけで、かすり傷ひとつない。

だが――救急車の中で、事件は起きた。

医療スタッフに紛れ込んだ何者かが由里を不意打ちし、ほかの護衛を振り切っ...

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