第472章

巌谷研一が慌ただしく車を降りた瞬間、仮面の男が目を見張った。

「?!」

来るのは薄井宴だと踏んでいたのだ。まさか巌谷研一が現れるとは――。

宝は巌谷研一の姿を見た途端、張りつめていたものが切れたように泣き声を大きくした。

「パパパパ! パパ、だっこ……うぅ、パパ、だっこ……!」

声に引かれて見上げた巌谷研一の視界に、二階で縛られている宝が飛び込む。熱いものがこみ上げ、胸の奥がぶるぶると震えた。

「宝、怖くない。パパが来た」

巌谷研一は大股で階段へ駆け出す。だが、屈強な男たちがずらりと立ちはだかり、進路を塞いだ。

階段口に立つそいつが、見下ろすように巌谷研一を睨む。口ぶりは、ひ...

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