第473章

二人は役割をはっきり分けた。巌谷研一は宝に意識を集中させ、機をうかがう。

薄井宴は囮になり、打ち手どもと真正面から血みどろの乱戦だ。

薄井宴の動きは速く、容赦なく、狙いが正確だった。怒り狂った獣みたいに、踏み込んでは叩き伏せる。

二階には、両手を背に組んで立つ男がいた。視線は終始、薄井宴に張りついたまま。

今日の主役は、間違いなく薄井宴――そう言わんばかりだ。

男は慌てもせず、薄井宴が群れを相手に斬り結ぶ様を、芝居でも眺めるように見物している。

赤い点が薄井宴を追い続ける。狙撃手は引き金に指をかけ、いつでも撃てる体勢――それでも男は命令を出さない。

それどころか――

薄井宴が...

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