第475章

工場内。医療スタッフが巌谷研一の傷を応急処置し、病院へ搬送して救命措置に移ろうとした――が、本人が拒んだ。

「もういい。無駄だ……助からねえ」

そう言い切った巌谷研一は薄井宴の姿を見つけ、かすれ声で呟く。

「残りの時間……せめて静かに、あいつと話させてくれ」

医療スタッフは口をつぐみ、傍の警官も言いかけて飲み込んだ。

薄井宴が近づき、医療スタッフに問う。

「……まだ望みはあるか」

返ってきたのは、迷いのない首振りだった。

この重傷で、今すぐ息が止まっていないだけでも幸運だという顔。

薄井宴は眉間に皺を寄せる。

「なら、もう動かすな。俺が一人で話す」

医療スタッフは頷いて...

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