第476章

薄井宴「?!」

巌谷研一は荒い息を吐きながら、「そ……それは……」と言いかけて――言葉の途中で、ふっと動きを止めた。

薄井宴の瞳がきゅっと縮む。すぐさま声を張った。

「医者!」

少し離れた場所にいた医者と警官が、同時にこちらへ駆けてくる。

医者は素早く状態を確認し、首を横に振った。

「……もう呼吸がありません」

薄井宴「……」

さっきの時点で、巌谷研一が助からないことは分かっていた。だから死そのものに驚きはない。

ただ――分からない。

巌谷研一が最期に、藤堂光瑠の実の両親の話を持ち出した意味。

死ぬ間際だから、知っている秘密を全部吐き出そうとしただけなのか。

それとも...

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