第486章

黒い影は背が高く、がっしりしていて、次郎より頭ひとつどころじゃない。

次郎が相手を見るには、自然と見上げる形になる。

音もなく次郎の背後まで近づけた時点で、ただ者じゃない。鍛えた人間だ。

次郎の頭には夜行灯が付いていて、その光が影の顔を照らした――

次郎の胸がひゅっと縮む。

顔一面に刻まれた無数の傷痕。まるで気味の悪い長虫が何本も張りついているみたいで、背筋がぞわりとした。

男は光が嫌いなのか、眉を寄せると手を振り上げ、次郎へと払ってくる。

殴るつもりなのか、それとも頭の夜行灯を叩き落としたいのか――?

拳が風を裂く音は刃物みたいで、次郎でさえ意外に思う。

普通の使い手じゃ...

ログインして続きを読む