第490章

次郎はもともと機嫌が悪かった。そこへあいつの顔まで見せられたら、さらに腹が立つ。

師匠とは因縁があるうえ、薄井昌山のために祖母の遺灰を見張っている。敵に決まってる。

「やるならさっさと殴りかかってこいよ! なんでコソコソ俺の後ろをつけ回してんだ!」

長い傷跡のある男が、面白がるように次郎を眺めた。

「俺が怖くないのか?」

次郎は奥歯を噛みしめる。

「やるならやれ。くだらねえ口は閉じろ!」

言い終えるや否や踏み込み、拳を振るった。拳風が火を帯びたみたいに熱く、速く、容赦がない。

胸の内は怒りで煮えたぎっていた。短期決戦で片をつける。終わったら薄井昌山のところへ行って、思い切り憂...

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