第120話ヒーローをするのが好きなんだね

「なんてこと……」セーブルが囁いた。その顔からは血の気が引いている。「もし私の代わりにあなたが薬を盛られていなかったら……」彼女は首を振った。「あの異常者め!」

俺は続けて、次の証拠を提示した。「それから、ジェームズ・ミラーを覚えているか? 婚約パーティーでわざと俺にぶつかってきたウェイターだ」

俺は画面を指差した。「この携帯には、彼とブレアの会話記録がすべて残っている。事後に彼女が支払った口止め料のこともな」

セーブルは次々と明かされる事実に圧倒され、椅子の背もたれにぐったりと身を沈めた。

「何より重要なのは」俺は声を低くして言った。「ブレアの『自殺』は完全に仕組まれた狂言だったとい...

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