第160章:失望

ほんの一瞬、胸の奥で希望が花開いた。もしかしたら、これは彼なりの歩み寄りなのかもしれない。まだ私のことを気にかけてくれているという証なのかもしれない。もしかしたら――

その空想を遮るように、携帯電話が鳴った。

「セーブル、あなた。私が送ったお昼は届いたかしら?」メアリーの温かい声がスピーカーから響いた。

膨らんでいた希望は、まるで穴の開いた風船のようにしぼんでいった。

「いろいろあって、ちゃんと食べてないんじゃないかって心配だったのよ」メアリーは続けた。「あなたって、落ち込むと自分のケアがおろそかになるでしょう?」

私は無理やり声を弾ませた。「メアリー、そんなに気を使ってもらって……...

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