第187話最大の愚か者

カエランが振り返り、私の目を見つめた。

「ありがとう、サビ」

私は手を伸ばし、彼の眉間に刻まれた心配のシワを撫でて伸ばした。「付き合い始めた頃に言ってくれたこと、覚えてる? 何にでもお礼を言うのはやめろって」

彼の唇に、かすかな笑みが浮かんだ。

「ほら、今は私が同じことを言ってるわ」私は彼の手を優しく握りしめた。

「愛してるよ、セーブル。もう家に帰って休んでくれ」

私は立ち上がり、彼の額にそっとキスをしてから、乱れた髪に指を通して梳いた。「私も愛してる、カエラン。あなたも少しは眠ってね」

彼は頷いたが、今夜キャサリンのそばを離れるつもりがないことは、お互いに分かっていた。

私は...

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