第25章:バーニング

その事実は、まるで暴走列車のような勢いで俺を打ちのめした。長きにわたる虚無。ベッドを共にしても、まるで他人のように感じられた女たちとの無意味な情事の数々。

俺は自分が壊れているのだと思っていた。他の狼たちが語るような深い絆を結ぶことなど、俺には不可能なのだと。

だが、俺は壊れてなどいなかった。ただ、彼女を待っていただけだったのだ。


俺のペントハウス・スイートは最上階のフロアすべてを占有していた。随分前に予約を入れておいた部屋だが、まさか意識を失った「番(つがい)」を抱きかかえて敷居をまたぐことになるとは予想もしていなかった。

俺はセーブルをそのまま主寝室へと運び、キングサイズ...

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