第96章:不正行為

電話越しでも、父が不機嫌そうに唸るのが聞こえた。

「わかったわ」ビクトリアが母親らしい宥めるような口調で言った。「セーブル、あなたはゆっくり休みなさい。お父さんはただ過保護なだけよ。いつものことでしょう? 私から言っておくから」

「ありがとう」心からそう思った。

「バイバイ、セーブレート!」デイジーが画面に向かって投げキッスをする。

私も投げキッスを返し、通話を切った。

携帯を脇に置き、バスルームへ向かう。熱いシャワーは肌に心地よく、残っていたストレスを綺麗に洗い流してくれた。

シャワーを浴びた後、私はキッチンに立ち、棚から材料を取り出し始めた。

「アーモンドプードル、粉砂糖、卵...

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