第10章 あなたの妻です

ほどなくして車のドアが開き、執事の福生が書類一式を胸に抱えたまま近づいてきた。

降りた瞬間、福生は荻原征佑と荻原和夏の姿を認め、わずかに目を見張る。

「荻原さん。やはりこちらにいらっしゃいましたか」

言い終えるより早く、荻原征佑がさっと歩み寄り、にこやかに手を差し出した。

「福生さん。わざわざありがとうございます」

そのタイミングで、屋内から原村美保子と荻原美菜が慌てて飛び出してくる。玄関の扉がばたんと開いた。

「福生さん、本当に申し訳ありません。昨夜、娘が集まりで盛り上がりすぎて……お酒を飲みすぎたようでして。お友だちが冴島家の荘園の場所が分からず、こちらに送り届けたんです。い...

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