第35章 横暴な一家

荻原征佑たちのテーブルのほうから、荻原美菜の甲高い叫び声が響いた。

「ちょっと、どういうこと? うちの父はここの会員なのよ? それなのに看板料理が出せないって……。私たち、それ目当てでわざわざ来たんだから!」

美菜はバンッと机を叩き、傍らのスタッフを睨みつける。

スタッフはメニューを抱えたまま、ひたすら愛想笑いを貼りつけた。

「誠に申し訳ございません。看板料理が予想以上にご好評をいただきまして、本日は食材が品切れとなっております。最後の一皿も、先ほど別のお客様が――」

「会員の私たちにも融通って効かないの?」

正面に座る荻原征佑が背筋を正し、冷たい目でスタッフを射抜く。露骨に不満...

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