第52章 罰

冴島零は荻原和夏の額へ、そっと口づけを落とした。

そして振り向いた瞬間、表情が氷みたいに冷え切る。

「――俺の妻に手を出そうとしたのは、お前か」

冴島零の視線は加藤大和を射抜き、怒りの火が瞳の奥でゆらりと燃えた。

加藤大和は額を押さえている。指の隙間から、だらだらと血が滲み落ちていた。

そのくせ目だけは、獲物を食いちぎる獣みたいに残酷で、冴島零を睨み返す。

「はっ……まさか、お前が冴島零だって? 笑わせんなよ。あいつはブサイクって話だろ」

加藤家の力じゃ、冴島零みたいな格の富豪に触れる機会などない。

だからこそ、信じられるはずがなかった。目の前の男が――噂の若い社長だなんて。...

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