第57章 難癖をつける

荻原和夏が振り返ると、背後に立っていたのは村野華香だった。

荻原和夏は自分の鼻先を指でちょん、と指し、

「……私に言ってます?」

と首を傾げる。

村野華香の細い眉が、きゅっと寄った。

「ほかに誰がいるの? あんた、研修医なんだから手伝いなさいよ。コーヒーくらい淹れて、何が悪いの」

高慢さを隠しもしないその顔に、荻原和夏は思わず鼻で笑いそうになった。冴島羽美にも似た傲慢さだが、比べものにならない。

「何笑ってんの? 研修医って、みんなそんなに礼儀知らずなの?」

村野華香の声が一段上がり、叱りつけるような調子になる。

荻原和夏の口元から笑みが消えた。淡々と村野華香を見据える。

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