第60章 心の狭い女

荻原和夏は、各分野の専門誌から立て続けに論文をリジェクトされ、露骨に顔色を悪くした。

拒否そのものが堪えたわけじゃない。問題は、返ってきた理由がどこも不気味なほど同じだったことだ。

『荻原様。誠に残念ながら、論文にいくつか不備がございます。再度ご推敲のうえ、改めてご投稿ください』

「……はぁ?」

荻原和夏は苛立ちを抑えきれず、ノートPCを勢いよく閉じた。投稿してから、もうすぐ一週間。動物医学関連の学術誌は、片っ端から全部落とされた。

「どこが問題なのよ。病院じゃ、みんな評価してくれたのに!」

答えが出ないまま、彼女は野口友樹に頼るしかなかった。

「そんなはずないよ。俺も読んだし...

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