第70章 荻原美菜の迷い

荻原美菜は、白石月乃に自分の名を呼ばれた瞬間、しばらく固まってしまった。

隣では金井亜香が、羨望と嫉妬をないまぜにした視線で美菜を睨むように見ている。

一方、ステージ上の白石月乃は、何度呼んでも返事がないことに眉をひそめた。メインホールには生徒がぎゅうぎゅうに詰めかけていて、荻原美菜がどこにいるのか見つけられない。そもそも今日、本当に来ているのかすら疑わしくなってくる。

(ずっと準備してきた計画なのに……まさか一歩目でつまずく?)

運の悪さに内心で舌打ちしかけた、そのとき。

ようやく我に返った荻原美菜が、勢いよく立ち上がって叫んだ。

「ここです! 白石さん、ここにいます!」

胸...

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