第88章 認めない

冴島零は、どう妻に切り出せばいいのか分からなかった。何しろ――妻を殺そうとした相手が、自分の妹かもしれないのだ。

胸の奥がざわついて仕方ない。散々悩んだ末、彼はスマホを取り出し、妹の冴島心菜に電話をかけた。

すぐに繋がり、受話口から気だるげな声が流れてくる。

「お兄ちゃんから電話なんて珍しいね。何か用事? でも今ちょっと無理かも。美容中なんだよね」

美容サロン。冴島心菜はベッドに横たわり、全身にオイルを塗られて甘い香りを纏っていた。スタッフの一人がスマホを耳元に当て、別のスタッフが顔にパックを貼っている。

そこへ、冴島零の冷えた声。

「美容してる場合か。ひとつ聞く。村野華香って女...

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