第9章 嘘をついてくれ

荻原征佑の顔色が、みるみる最悪のものへと変わった。

――まただ。あの忌々しい娘に、また脅されている。

「もう手はない……俺たちにできるのは、冴島家の報復を待つことだけだ」

原村美保子は荻原征佑と荻原和夏を指さし、声を張り上げて喚いた。顔は真っ青、瞳には恐怖が渦巻いている。

金持ちになれない人生に、いったい何の意味があるのか。

そんなこと、考えたくもなかった。

その瞬間、荻原和夏の目がすっと冷えた。

次いで、乾いた音が響く。

ぱんっ。

原村美保子の頬に平手が入る。

「私が浮気したこと、まだ誰も知らない。いまそんな大声出して、近所中に聞かせたいの?」

原村美保子は頬を押さえ...

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