第107章

 セレステの足が、ふいに止まった。

 胸の奥に小さなざわめきを覚えながら、思わず口を開く。

「マーサ、あの下って……何があるの?」

 問いかけると同時に、無意識のうちにその扉へと二歩、三歩と近づいてしまう。

 その瞬間だった。

 扉の向こうから、ふっと生臭い気配が鼻先をかすめたのは。

 セレステはびくりと眉根を寄せる。

 そして次の瞬間、その匂いの正体に思い当たり、思わず一歩、たじろぐように後ずさった。

「中で何があったの? どうして……血の匂いがするの? 誰か、倒れてるんじゃないの?」

 声が廊下に響いた途端、それまでかすかに聞こえていた物音が、地下フロアからぴたりと消え...

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