第115章

 セレステは男を、驚きと疑いをないまぜにした目で見つめた。震えはまだ全身を支配している。

 母親は自分を殺そうとしているのに、その手先であるはずのボディーガードが、自分を助けると言う――。

 理解の埒外だった。

 男は、なお恐怖に固まっている彼女を見ると、歯噛みしながら、おずおずと手を伸ばした。

「お嬢さん、まずはその口のやつを外します。我慢してください」

 そう言って、強力なテープの端をつまみ上げ、大きく息を吸い込むと、一気に下へと引きはがした。

 ビリッという凄まじい音。テープは容赦なく剥がれ、セレステの唇の皮を薄く一枚持っていった。瞬く間に血が滲み出す。

「っ……!」

...

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