第117章

 突然、玄関のほうから凄まじい叫び声が響いた。

「ルシアン!!!」

 ルシアンの動きがぎくりと止まり、ぎこちなく首を巡らせる。信じられないという色を宿した視線が、声のした方向へと向かった。

 イザベラも雷に打たれたように硬直し、こめかみに押し当てられた銃口のことさえ忘れたように、同じく絶望的な面持ちでそちらを見やった。

 玄関先。細い身体がひどくみすぼらしい姿で、今にも崩れ落ちそうに扉の枠をつかんで立っている。

 セレステだ。

 ルシアンは呆然と目を凝らした。

 どう見ても水の中から這い上がってきたばかりの姿だ。服こそほとんど乾いているものの、髪はまだわずかに湿って肩に貼りつい...

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