第122章

 だが、ドアノブに手が触れる直前、ルシアンの動きがぴたりと止まった。

 俺は狂っている。

 絶対に、どうかしている。

 ルシアンは心の中で自らに吠えた。

 今日、この女のために、コスタのファミリーをあわや血祭りに上げるところだったというのに。

 今度は彼女の悲鳴を聞いただけで、後先も考えずに部屋へ飛び込もうとしているのか。

 入ったところで、何ができる。

 彼女の代わりに痛みを感じてやれるわけでも、傷口をたちどころに塞げるわけでもない。

 何より――どうして俺が、セレステなんかの心配をしなければならないんだ?!

 書斎を飛び出したルシアンの後ろには、すでにアントニオが音もな...

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