第124章

 だが、ルシアンは何も説明するつもりはないらしく、ただ手を振ってアントニオに下がるよう促した。

 アントニオは少し沈黙し、ふとルシアンの意図を悟った。

 人の信念を根底から打ち砕くようなこの事実。ルシアンでさえあれほど取り乱すのだから、ましてやセレステに見せるわけにはいかないだろう。

 ということは……ルシアンは今、セレステを気遣っているのだろうか?

 その事実に、アントニオは喜ぶべきか悲しむべきか分からなかった。

 彼は慌てて力強く頷く。

「はい! ルシアン様、承知いたしました! 適切に処理いたします!」

 そう言い残すと、足早に書斎を後にした。

 ドアが閉まった瞬間、ルシ...

ログインして続きを読む