第140章

「今すぐ薬を持ってこいと言っているんだ!」

 ルシアンの眼差しは、凍りつくほどに冷酷だった。

「俺の言葉がわからないのか、アントニオ?」

 その怒りに満ちた双眸を前にして、アントニオは用意していた諫めの言葉をすべて喉の奥へと呑み込んだ。

 顔を蒼白に引きつらせ、ルシアンの怒りが頂点に達する直前で、彼は深く頭を下げる。

「はい、ルシアンさん!」

 すぐさま身を翻し、会議室の扉を引いた。

 だが、開け放たれた扉の向こうから、血相を変えて駆け込んできた看護師と危うくぶつかりそうになる。

 アントニオの姿を認めるなり、彼女は悲鳴のような声を上げた。

「アントニオさん! 大変です! ...

ログインして続きを読む