第152章

 懐かしい匂いが、ふわりと鼻腔をくすぐった。

 すべてが、彼が最後にこの家を後にしたときのままだった。

 豪奢で、洗練されていて――それでいて、冷たい棺桶のよう。

 だが、傍らにいたセレステは歓声を上げ、スリッパを履くのももどかしいとばかりに、裸足のまま駆け出していった。

「やっぱり、おうちが一番ね!」

 両腕を広げ、広々としたリビングでくるりとターンを決めると、そのままソファへとダイブする。だらしなく身体を沈め、クッションに深く顔を埋めて、満足げにすりすりと頬を擦りつけた。

「どこもかしこも私の好きなものばかり。一番ホッとする場所……ほんと、最高……」

 ルシアンは玄関に立ち...

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