第156章

 むせ返るような香料の匂いが空気に溶け込んだ瞬間、鉄檻の中の三頭の猛犬は極限まで狂暴化した。

 狂ったように鉄格子に体当たりを繰り返し、耳をつんざくような咆哮を上げながら、おびただしい涎を撒き散らす。

 ルシアンは檻のそばへ歩み寄り、自らの手でその扉を開け放った。

 三つの黒い影が、床に這いつくばるメイドに向かって猛然と襲いかかった。

「ぎゃああっ! 助けて! ルシアンさん、お許しを! あああっ! 私の足! 腕が! 助けてえっ!」

 凄惨な悲鳴が、陰惨で血生臭い地下室の空気を瞬時に震わせた。

 ルシアンはすぐ傍らに立ち、無表情のままその光景を見下ろしていた。

 かつては忠誠心に...

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