第160章

 リビングに敷かれた柔らかな白いウールのラグの上。セレステは足を崩して座り込み、膝にのせたファッション誌をめくりながら、フルーツボウルに盛られたカットメロンを小動物のように少しずつ口に運んでいた。

 室内は静まり返っている。アロマが焚かれ、以前ここに漂っていたあの血の匂いは、すでに跡形もなく消し去られていた。

 キッチンで食事の支度をしているマーサは、時折顔をのぞかせてはセレステの様子をうかがっていた。彼女に変わった様子はなく、他の使用人たちが誰もいないことに対しても何の疑問も抱いていない。それを確認し、マーサは密かに安堵の息を漏らした。

 突然、インターホンのチャイムが鳴った。

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