第180章

 ドアの枠に寄りかかっていたセレステは、弾かれたように心臓を跳ね上がらせた。何も考えず、手にしていたスケッチブックをそばのキャビネットに無造作に置き、ルシアンの元へ駆け寄る。

「動かないで! 見せて!」

 焦燥に駆られた声で叫び、火傷を負った彼の手を引っ張る。

 彼女の突然の登場に、ルシアンはぎょっとした。熱した油が彼女に跳ねないよう、慌てて身を翻してコンロの前を塞ぐ。

「どうして下りてきたんだ? 二階で大人しく寝ているように言っただろう。医者からも、お腹の子が不安定だから絶対安静だって……」

「下りてこなかったら、夫がこっそりサプライズを用意してるなんて気づけなかったじゃない」

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