第181章

 けれど、ルシアンは本心から離れたくなかった。

 セレステの身を案じているのはもちろんだが、それ以外にも、今の彼には認めざるを得ない、いや、むしろ堂々と認めてしまいたい理由がもう一つあった。

 彼はもう、セレステなしでは生きられないのだ。

 今の彼にとって、セレステは魚にとっての水と同じだった。

「ドン?」

 いつの間にかセレステが近づいてきており、少し離れた背後から心配そうに彼を見つめていた。

 電話の内容こそ聞こえなかったものの、一瞬にして氷のように冷たくなったその横顔と、こわばった背中を見れば、何か良くないことが起きたのは明白だった。

「もしかして……会社で何か急ぎの用事...

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