第192章

 ――だめだ……死んでたまるか……

 セレステ……それに、子供も……

 俺が死ねば、彼女たちが生き延びる道は完全に断たれてしまう!

 ルシアンは奥歯を噛みしめ、どこからともなく湧き上がった底力で、無事な右腕を支えにして勢いよく上体を起こすと、ブーツに忍ばせていた予備の小型拳銃を引き抜いた。

 ダァン!

 ダァン!

 二発の銃声が轟き、アントニオの悲痛な叫びが木霊した。

「ルシアンさん!」

 ルシアンの身体が、ドサリと重い音を立てて地面に崩れ落ちる。

 だが次の瞬間、顔に傷跡のある男の凶悪な笑みが凍りついた。男は信じられないと言わんばかりに目を剥き、ぐらりと身体を揺らすと、そ...

ログインして続きを読む