第196章

 ルシアンはついに意を決し、ドアを押し開けて部屋に入った。

 セレステはドアに背を向け、横たわったままだった。彼が入ってくる気配に気づいても、振り返ろうとはしない。

 ルシアンはベッドの傍らに歩み寄り、無言のまましばらく立ち尽くした。

 千々に乱れる思いが胸の内でぶつかり合い、とうに限界を迎えていた彼の神経を容赦なく引き裂いていく。

 だが、触れれば壊れてしまいそうなほどに痩せ細ったその背中を前にすると、どれほど言葉を紡ごうとしても喉の奥につかえてしまう。結局、それは微かなため息へと変わるだけだった。

「……すまない」

 彼はゆっくりとベッドの脇に膝をついた。触れることすらできず...

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