第200章

 セレステは、そのときようやく気付いた。赤ん坊の小さな胸が大きく裂け、血まみれになっていることに。

 いつの間にか、エミリーに胸を刺し貫かれていたのだ。

 気付かなかった。あんなに長く走り続けてきたのに、まったく気付かなかったなんて。

 マーサが命に代えて守り抜いた我が子も、死んでしまった。

 理不尽な災厄のせいで背負うことになった命が、また一つ増えてしまった。それも、他ならぬ自分の娘の命が。

「いやああああっ!」

 セレステは泣き叫びながら、狂ったように笑い出した。

「そんなはずない。お腹が空いただけよね……お腹が空いて、眠っちゃっただけ……」

 セレステは乱暴に服の胸元を...

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