第21章

 セレステはその幾つかの赤い斑点を、長いこと見つめていた。

 その赤色は視界の中でぼやけ、広がり、歪み始め、やがて渦巻く暗い影へと変わっていく。

 ふと、色が判別できなくなっていることに気がついた。

 人が死にゆくとき、瞳孔はゆっくりと開き、周囲の景色や一つ一つの事物、さらには愛する人の姿さえも、視界の中で次第にぼやけた塊になっていくと聞いたことがある。

 自分があとどれくらい持ちこたえられるのかはわからない。だが、身体の中で何かがゆっくりと朽ち果てていくのを、彼女は確かに感じていた。

 いつの日か、この身体は腐り果てて骸骨となり、ルシアンによって白骨すら灰にされ、風に飛ばされるか...

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