第210章

 ルシアンはゆっくりと上体を起こした。

「今でも、自分の愛する男を信じるか?」

「嫌っ!」

 エミリーは悲鳴を上げ、両手で耳を塞いだ。

「でたらめよ! ライナスは私を愛してる! 愛してくれてるわ! 私を連れて戻ってきたのは、死ぬ覚悟ができていたからよ! たとえ失敗しても、私と一緒に死ぬって言ってくれた! 私を見捨てるはずない! 絶対に!」

 ルシアンはふっと笑みをこぼし、何かを思案するように頷いた。

「そうかもしれないな。俺に歯向かうのは、確かに命懸けだ。奴も死ぬ覚悟くらいはしていただろう。だがな、エミリー。奴は死ぬことより、生き延びることを望んでいた。なぜ奴が、自分は必ず生き残...

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