第211章

階段にかけたルシアンの足がぐらりと揺れ、全身から力が抜けた。

 そのまま、どさりと音を立ててその場に崩れ落ちる。

「ルシアンさん!」

 マークが矢のように駆け寄り、彼を抱き起こそうとする。

 だが、ルシアンは差し出されたその手を乱暴に払い除けた。

「ルシアンさん! おみ足が……」

 マークが悲痛な声を上げる。

 ルシアンは何も答えない。傍らの手すりにすがりつき、無理やり身体を起こすと、再び足を踏み出そうとした。

 しかし次の瞬間、またしても重々しく膝から崩れ落ちる。

 痛覚すら失ってしまったかのように、彼は何度も、何度も、狂気じみた執念で立ち上がり、前へ進もうともがいた。

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